モチベーションミュージック

イヤフォンで音楽を聴きながら仕事をすると、なぜこんなに捗るのか、その理由を考えたことはあるだろうか？あるいは、早起きしてランニングする際にお気に入りの曲を聴いていると、新たなインスピレーションが湧いてくるのを感じたことはないだろうか？

音楽に関する脳の研究は、実は1950年代から行われており、神経科学の一分野である神経音楽学では、私たち人間の神経系が音楽にどのように反応するかを研究している。

研究者らによって、それぞれの人間の感情に適した音楽が発見された。例えば、集中したい仕事には環境音楽やナチュラルな音楽が適している一方、軽快なポップミュージックは刺激的な気分にさせてくれる。音楽は、人間のすべての行動の動機づけとなり、肉体的および精神的な耐久性に影響を与えるのだ。

一般的に、音楽が生産性にもたらす効果は過小評価されがちだが、人間のモチベーションに音楽はどのような意味を持つのだろうか？以下にて、詳しく見てみよう。

1. 音楽は疲れを軽減する

モチベーションを低下させる主な原因は、ストレスと疲労だ。現代社会では、すでに疲れているのに仕事を続けなければならない、というストレスフルな状況があまりにも多い。そんなときには、休息や睡眠をとるのが一番だが、不測の事態でそれができない場合もある。そこで出番となるのが、音楽だ。日々の習慣による精神的な疲れを音楽によって軽減できることが研究で証明されている。習慣は生産性の向上に役立つと思われがちだが、その考えがもはや罠である。毎日同じような作業を繰り返すことで習慣化し、脳はすぐにそのルーチンに飽きてしまうのだ。そこで音楽を聴くことで、脳に新鮮な刺激を与え、日常から離れ、気晴らしをすることができる。気晴らしができると、脳の働きが活性化し、身体的な耐久性が高まるので、このような場面では特に効果的だろう。

2. 音楽は刺激を与える

イヤフォンでお気に入りの音楽を聴きながら走ると、より効率よく朝のランニングができたことに気づいたことはないだろうか？聴覚と運動シナプスには明らかな関連性があるため、音楽は日々の活動を奨励する可能性がある。多くの企業では人事戦略として、音楽が身体的・精神的刺激に与える影響を活用し、従業員の生産性とモチベーションの向上を促しているようだ。A-writer社の人事部長ピーター・ジェンキンス氏は、「数ヶ月前、社員の集中力を高めるために音楽療法を取り入れた」と述べている。

3. 音楽はリラクゼーションを高める

音楽が人をリラックスさせるということは誰もが知っている事実だろう。ところが、音楽がモチベーションとどう関係するのかはご存じだろうか？ストレス解消や心身のリラクゼーションは、働き過ぎた人の心を癒してくれる自然治癒力だ。音楽は、人間の脳を混乱させるあらゆる苦難から自然に目をそらす役割を果たし、リラクゼーションの質を大幅に向上させる。さらに、脳を落ち着かせ、集中力を高める効果もある。このように音楽は人間の心と体を元気にしてくれるので、音楽とリラクゼーション、そしてモチベーションは切っても切れない関係にあるのだ。

まとめ

音楽は、私たち人間の思考や気分を変える非常に強力なメンタルツールであるため、お気に入りの曲を聴きながら様々なタスクや仕事をこなすことは、モチベーションを大いに高めてくれるだろう。さらに音楽は、私たち人間の環境への認識を変化させ、より明るく外向的な感情にしてくれる効果もある。

音楽療法は、あらゆる痛みを和らげ、血圧を正常に調整し、不安感や絶望感を軽減するために、全国の病院で行われている。音楽には、「世界の共通言語」や「天の鏡」など、さまざまな呼び名がある。音楽の影響力について議論の余地はないが、新たに行われた研究によって、音楽がどれほど大きな影響力を持つかが示されている。

健康心理学者によると、音楽は歴史上すべての文明社会において「癒し」と「治療」のために活用されてきたという。つまり、どの文明社会も、音楽を作ったり聴いたりすることで得られるメリットを認めてきたというわけだ。古代ギリシャの医者・ヒポクラテスでさえ、音楽は薬術と切っても切れない関係にあると認めていたとか。

音楽は、脳卒中を患っている人の運動機能や認知機能の回復を助けたり、認知症を患っている人の悲しい感情を軽減したり、さらには手術を受けたばかりの人の痛みを軽減したり/回復を早めたりすると示す科学的なデータもある。もちろん、治療効果も期待できる。

こうした科学的研究によれば、音楽療法は、身体的、感情的、認知的、社会的なニーズへの対処を助ける、確立された治療法の一種だといえるだろう。音楽は、心拍数、血圧、体内のコルチゾールレベルを下げるうえ、不安を和らげ、気分を高揚させるのに役立つのだ。例としては、レストランやお店など、どこへ行っても流れている音楽などがあるが、以下では、積極的にリラックスし、ストレスを解消し、さらには気分を高めるために音楽を利用する方法をいくつかご紹介しよう。

音響環境に気をつける – 通常の飲食店やレストランでは、お店の回転率を上げるため、お客様に早く食べてもらうために、目立たないように音楽を使用することがある。緊張感のある会議や親密な話をするプライベート空間を探しているのなら、騒がしい場所や大音量の音楽はかえって、人のストレスや不安を高める可能性があるということを覚えておこう。

カラダに活力をつける – 一方、運動や掃除、プレゼンなど、エネルギーや活力を高めたいときには、軽快な音楽が効果的かもしれない。朝、着替えのときにノリのいい音楽を聴くと、その日一日の調子を整えることができるだろう。

睡眠の質を改善する – 夜寝る前の1時間前にクラシック音楽や穏やかな音楽を聴くと、リラックスしてよく眠れるようになる。

運転中のイライラを鎮める – 運転中にお気に入りの音楽を聴くことで、渋滞への怒りが鎮まり、より安全な運転ができるようになるかもしれない。

脳を使うゲームのスキルを磨く – 音楽を奏でることは、脳のパフォーマンスを向上させる可能性がある。というのも、音楽を演奏することで、反応速度が速くなり、長期的な記憶が可能になり、さらに認識力が高まる傾向にあるからだ。また、音楽を習った子どもは算数が得意で、言語能力も高いと示す研究結果もある。

医療ストレスを軽減する – 近々控えている医療処置に不安を感じている人はいないだろうか？もしそうなら、緊張をほどくために音楽を聴くことを検討してみよう。例えば、歯の手術、MRI、注射などの医療処置を待つ間、イヤホンをつけてお気に入りの音楽を聴けば、不安を解消できるかもしれない。ただし、大腸内視鏡検査やマンモグラフィー、虫歯の治療などといった処置の際には、待合室内で音楽を流してよいかどうか、必ず事前に許可を取るようにしよう。人によっては、音楽により集中することができ、気分を落ち着かせることができ、結果的に安全で有意義な処置結果が得られるだろう。